ラファエル設計さん プロ向けの現場見学会

学び現場視察・見学

9月7日(水)は、栃木県にあるラファエル設計さんの現場見学会に参加させていただきました。
今回は、マニアックな家づくりをしている業界人の中で話題になっている空調システム「KAMI式」を公開していただきました。
KAMI式とは、エアコン1台で家全体の温度と湿度が均一にできる空調システムです。

それでは、見学会の様子を撮影させていただいた写真とともにご紹介いたします。

まずは空調概念図。

温度のコントロールは何とかなるんですが、湿度のコントロールって難しいんですよね。
エアコンで温度は下げられても湿度は下がらずにベタベタした感覚が残る、みたいな。
そこで話題になりつつあるのがKAMI式です。
湿度の表し方は、空気中に含まれる水蒸気の割合(%)を表す相対湿度と、1㎥の空気中に含まれる水蒸気自体の量(g)を表す絶対湿度の2種あります。
神長さんが言うに「この現場は温度27度、湿度を11gと均一にすることですごく快適になるんですよ」と。
エアコンでコントロールした空気を室内に回し、循環した室内空気を再度エアコンにリターンさせ、エアコンで再除湿させ、改めて空気を室内へと戻す。
これがKAMI式のおおまかな構図です。
「高気密・高断熱の家でこそ効果が発揮される空調システム」と神長さんは強調して仰っていました。

断熱の仕方や気密の取り方を実寸模型で説明してくださいました。

断熱は壁外にも入れる付加断熱。
一般的には土台の上に床が乗りますが、右側の木が重なっている部分に床が乗ります。
そうすることで、床下の空気が動きやすいこと、またダクトの配管スペースが確保できるなどのメリットもあります。

エアコンの設置は床上です。

チャンバーボックスからダクトを通ってエアコンの空気を循環させています。
各部屋から吸い込んだ高湿度の空気をダクトを通してエアコン付近に強制的にリターンさせ、湿度が調整された空気をダクトを通して2Fの吹き出し口に送って空気を循環させています。
絶対湿度が上がらずに湿度は抑えられるんですよ。
東大の前先生も「なぜこうなるかがわからない…」と仰るほど。

説明する神長さん。

1Fの天井と2Fの床の階間をダクト変わりに使用しているため、エアコンにリターンさせる吸い込み口に紐を近づけると空気が流れていることが目に見えてわかりました。

2Fのホールにある吹き出し口も紐の動きで空気の流れがわかります。

ちなみにここからは乾いた空気が吹き出されます。

内部も見せてもらえました。

正面のチャンバーボックスにはエアコンがあり、保温されたダクトはエアコンからの吹き出しと外部からの新鮮空気。
グレーの保温していないダクトは室内からのリターンさせる用。
これをチャンバーボックスで混ぜることで温度・湿度の調整を行っています。

こちらは床下にある換気装置。

汚れた空気と綺麗な空気を入れ替えるもの。
室内のリターンされた空気と綺麗な空気をエアコンで混ぜて綺麗な空気を室内へ出しています。

空気環境を測るための機械「ケストレル」で測定してみると

温度25.1度、相対湿度60%、絶対湿度12.07gという結果に。
この日は雨天だったこともあり、湿度は高め且つ見学者約10人の環境。
チャンバーボックスが開いていたりするKAMI式がきちんとしていない中でもこの数値なのは凄いことです。
皆「なにこの数値!?」と驚いていました。

見学会に参加して感じたことは、とにかくベタベタせずに快適ということ。
湿度って大事ですし、KAMI式の凄さを思い知りました。
神長さんは(一社)新木造住宅技術研究協議会新住協のメンバーでもあり、建築知識ビルダーズで執筆もする凄い方です。
有難いことに情報発信を行なってくれて、いい刺激をもらえた日でした。
今できる最高の家づくりをしていきたいと感じました。